170514(sun)ゴスペラーズ


愛を探し、愛を歌う

 LOVE&SOUL。この2つに重きを置いたアルバムを、2000年に『Soul Serenade』という形で表したゴスペラーズ。そこから17年の年月を経て辿り着いた至極の愛が『Soul Rennesance』と銘を打ち、静岡の地でもお披露目される日がやって来た。

淡いパープルライトに照らされたアンティーク調の白いフレームに収まる5人が、神秘的かつ妖艶な佇まいで私たちを迎える。ほれぼれとその作品を見つめていると、ノイズ混じりに流れ出す<イントロ‛17>。ラジオチューニングにより鮮明になりゆくハーモニーをはっきりととらえたその瞬間、フレームのあちら側と客席側も繋がりゴスペラーズがステージ上に現れた。

 1曲目はスウィング・ビートに乗せた5人のソウルが心地よく踊り出すアッパーチューン<GOSWING>。ダンサブルなメンバーを目の前にし、スタートから身を揺らす観客たち。

続く<PRINCESS☆HUG>では、女性のお姫サマ扱いされたい本能をかき立て、ファンは王子たちの歌声に身を委ねる。さらに<Dream Girl>で甘々しい言葉が耳をくすぐれば、ワイルドさとやさしさを兼ね備えた歌声に早くも虜だ。

 ゴスペラーズはというと、まずは村上さんが「マリナーラ…はピザだっけ?」とわざとなのか本気なのかわからない会場への呼びかけで笑いを誘う。

そして特にサッカーファンである村上さんと安岡さんが、強豪校ひしめく清水に降り立ったことに興奮していた。2人を中心にまるで少年時代に戻ったかのように無邪気な様子のMCが続く。その様子を目を細めながら眺めていたのも束の間、ひとたび曲に臨めば色気を纏う表情と声色に豹変。

 ここから、アルバムのテーマを味わう世界に少しずつ引きずり込まれていく。まずは<Allnight & everynight>。村上・黒沢さんの両ボーカルが深く突き刺す一方で、酒井さんのボーカルがシルクのようにふわっと覆いかぶさり、その音の中に甘美な夢を見る。安岡さんと北山さんによる<Silent Blue>は内に秘める熱情を静かに語りかけてくる。

6年前にはじめて彼らのライブを目にしたときは心底”惚れる”という感情が沸き上がったものだが、今回は彼らに” 堕ちる”という感覚に近いものがあった。

 “復活・再生”を掲げたアルバムではあるが、新しい音への探求も忘れない彼ら。”ルーパー”という機械を用い、声の重なりを膨れ上がらせるのだ。清水では『ちびまるこちゃん』のテーマ<おどるポンポコリン>で実演し、1人1パートが常のボーカルスタイルに、新たな面白みを見出す展開に。まずおなじみの<侍ゴスペラーズ>を、この機械との融合でよりにぎやかに、騒がしくセルフカバー。いつもより多く聞こえるメンバーの声に、ファンの興奮もひとしお。そのルーパーを用いた第1作<Recycle Love>は中毒性の高い1曲。ルーパーの前に立つ酒井さんが操縦士。4人はその後ろや横で、表情1つ変えずに単調な動きを繰り返し歌う。澱みをすくい上げるような透明なハーモニーが浄化の要となっているのだろうか。まさにゴスペラーズ自身が愛の再生装置とでもいうかのようなステージングに釘付けになった。


<GOSWING>MV


<Recycle Love>MV



魂で求め、魂で叫ぶ


 ライブ中盤では、真骨頂のアカペラの名曲もルネッサンス。ゴスペラーズを代表する<永遠に><ひとり>がヒットした頃、世間は空前のアカペラブームを迎えていた。

この楽曲がアカペラ・ボーカル界に大きな功績を残したことは説明するまでもない。

この曲と共に歩んできた坂。まだまだ先に続く道に、真新しい足跡をつけるような輝きを放つアレンジ。誰かの様々な想いに触れ、人生を彩ってきたであろうこの曲が、再び”純白”というにふさわしい響きを持ってまた私たちの目の前に現れてくれた。彼らが歌い続ける限り、名曲は何度でも生まれ変わるということを知ったまぶしい一幕であった。

そして発端である『Soul Serenade』からも、収録曲を含めたメドレーがよみがえる。

ゆったりとイスにもたれ、憂いに焦点を当てた楽曲たちで聴く者の心象を切なく揺さぶっていく。続く<Deja Vu>は意地らしい男女のやり取りを歌う。ドラマのワンシーンを見るようなドキドキ感を胸にファンも歓喜にあえいだ。

ソウルを激しく燃え上がらせた後半戦。パンフレットのインタビューにて「ストレートで生々しいラヴソングを歌う」とあったのだが、”不倫”をテーマにした<Hide and Seek>こそ、いま最も注目の愛の形ではないだろうか。激情に身をまかせた逃走劇は客席を切迫感で襲い、鼓動を早くさせる。

さらに<FRENGY>で巻き起こる今日いちばんの狂乱と5人の煽り姿で、紅潮する会場の温度は絶頂に達した。

 様々な愛情劇を繰り広げた5人のハーモニーの終幕が、3曲の空模様となって映し出される。そのどれもが穏やかで温かい。そのうちの<Liquid Sky>は巡る運命に祈りを込めるように奏でられ、黒く映った罪も罰も澄んだ青に溶けていく格別な律べとなった。

 5人のLOVE&SOULを込めたスペクタクルを締めくくる1曲は<reborn>。彼らによって彩られた❝愛歌❞たちが、五線譜上から浮かび上がり天に還っていく。そして5人も、観客の惜しみない拍手を浴びながらフレームの向こう側へと帰って行くのであった。

残された楽譜が再び彼らの音色で綴られるのは、何年先になるだろう。人間界の愛はどんなもので満ちているのだろうか。悲しいニュースが胸に響くことも多いが、この日5人が見せてくれた復活・再生によって生まれてくるまっさらな愛と魂の輝きを、忘れずにいたいと感じた。



■ライブタイトル『ゴスペラーズ坂ツアー2017 Soul Renaissance』

■日時:2017年5月14日(日)17:30~

■会場:静岡・静岡市清水文化会館マリナート大ホール

■SET LIST

~イントロ‛17~

1.GOSWING

2.PRINCESS☆HUG

3.暁

4.Dream Girl

5.Allnight & everyday

6.Silent Blue

7.angel tree

8.星降る夜のシンフォニー

9. 侍ゴスペラーズ~ルーパールネッサンスver.~

10.Recycle Love

11.永遠に

12.ひとり

13.MIDNITE SUN

14.t.4.2.

15.I LOVE YOU,BABY

16.Body Calling

17.Deja Vu

18.Let it shine

19.Hide and Seek feat.RHYMESTER

20.Unlimited

21.Get me on

22.FRENGY

23.星屑の街

24.Liquid Sky

25.Fly me to the disco ball

―アンコール―

1. reborn

2. 誓い

ぱんだ・ら・もーど

みきちぱんだ【お仕事▶DTP制作】 音楽とパンダとチョコミントの3本立て。デザインボチボチ。 音楽【UNISON SQUARE GARDEN・SugarS・BRADIO・sumika etc...】 その他いろいろなのでその都度、縁ある音を捕食して生きています。 ポップな音&楽しいライブを好みます。2018年はライブ参戦少なめの予定。 ツイッターはこちら!@mikichi_panda

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